流山児★事務所公演「夢・桃中軒牛右衛門の」の舞台美術を担当させて頂きました。
流山児★事務所による宮本研連続上演の第一弾。
詩森ろばさん脚色で劇作家・宮本研さんの真骨頂を、現代の物語として再生する。
舞台美術としては、沢山のシーンをどう表現するか、下北沢 小劇場B1の2面客席にどう対応するかが、課題です。
6月後半に劇場の下見をしてきました。デザインは出来ました。
シンプルな柱と梁、板戸。それに俳優が動かせる箱でシーンを創ろうと思います。
乞う、ご期待です。
2022年8月16日更新
2022年8月16日・17日は、公演中止となりました。
流山児★事務所 公演 宮本研 連続上演 第1弾
『夢・桃中軒牛右衛門の』(ゆめ とうちゅうけん うしえもんの)
作:宮本研
脚色:詩森ろば(serial number)
音楽:朝比奈尚行(時々自動)
演出:流山児祥
概要
2022年8月10日(水)~17日(水)
10(水)・・・・・・・・・19:00
11(祝)・・・・14:00
12(金)・・・・14:00★
13(土)・・・・14:00/19:00
14(日)・・・・14:00
15(月)・・・・19:00
16(火)・・・・14:00/19:00 ※公演中止
17(水)・・・・14:00 ※公演中止
※受付は開演の40分前より 開場は開演の20分前より
★=アフタートーク
アフタートークは8/12(金)14:00の回
登壇者は、詩森ろば(脚色)、シライケイタ(出演)、流山児祥(演出)
進行は、ヨルノハテの岡島哲也が務めます
下北沢 小劇場B1
スズナリのお向かいの北沢タウンホール地下B1
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-8-18 北沢タウンホール地下1階
03-6416-8281
小田急線「東口」京王井の頭線「中央口」
チケット
宮本研連続上演通し券…8,000円 >>>第2弾『美しきものの伝説』
一般………………………4,500円
はじめて割………………4,000円
訪日外国人………………3,000円
学生・U25(25歳以下)…2,500円
高校生以下………………1,000円
RYU’S会員割引…………3,600円 >>> RYU’S会員詳細はこちらより
*割引チケットは、証明書の要提示。
*はじめて割は、流山児★事務所を初めてご観劇される方。1公演5名様限定(予約のみ)。
2022/6/17(金) 10:00ー予約開始 チケット予約フォーム
キャスト
桃中軒牛右衛門(宮崎滔天)・シライケイタ
槌(牛右衛門の妻)・・・・・山﨑薫
波(槌の姉)・・・・・・・・伊藤弘子
桃中軒雲右衛門・・・・・・・井村タカオ
浜(雲右衛門の妻)・・・・・石本径代
孫文・・・・・・・・・・・・さとうこうじ
黄興・・・・・・・・・・・・甲津拓平
宋教仁・・・・・・・・・・・木暮拓矢
秋瑾・・・・・・・・・・・・春はるか
士官学校(劉道)・・・・・・眞藤ヒロシ
留学生・・・・・・・・・・・鈴木麻理
北一輝・・・・・・・・・・・霍本晋規
毛沢東・・・・・・・・・・・三上陽永
馬右衛門・・・・・・・・・・星郁也
猫右衛門・・・・・・・・・・本間隆斗
北村高等刑事・・・・・・・・杉木隆幸
警察署長・・・・・・・・・・流山児祥
スタッフ
作:宮本研
脚色:詩森ろば
音楽:朝比奈尚行
演出:流山児祥
振付:神在ひろみ
浪曲指導:東家孝太郎
方言指導:霍本晋規
演出補:三上陽永
殺陣:上田和弘
舞台美術:V・銀太
照明:奥田賢太
映像:浦島啓
音響:島猛
衣裳:竹内陽子
舞台監督:岡島哲也
演出助手:畝部七歩+橋口佳奈
宣伝美術:ヨコヤマ茂未+江利山浩二
写真:横田敦史
制作:米山恭子
協力
宮本新 serial number 時々自動 劇団温泉ドラゴン ぽこぽこクラブ 劇団三日月湊 グローシャ 株式会社コローレ 株式会社ステージオフィス 合同会社ヨルノハテ 株式会社A4 有限会社ジェイ・クリップ 株式会社オフィスPSC 株式会社エクサプローズプロモーション 株式会社サードステージ MeiMei KINGS ROAD (順不同)
主催
一般社団法人流山児カンパニー
助成
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
あらすじ
百年前、アジアが大きく揺れ動いていた。
眠れる獅子の中国は清朝末期、革命が芽生えていた。
日本では熊本の地に、新しい時代の訪れを待ち望む男がいた。
宮崎兄弟の末弟、宮崎滔天である。
自由民権運動の志士である兄たちの影響を受けた滔天は、兄の遺志を革命に身を投じた中国の人々に重ね合わせ、惜しみない愛と支援を送り、孫文と仲間たちに出会い生涯に渡る固い信頼と友情の絆を結ぶ。
民族の独立と平和、民衆のための新しい国家の建設。
しかし、天下国家を論じアジアを駆け巡っていた滔天はある日突然、浪曲師・桃中軒雲右衛門の門を叩く。革命家から浪曲師:桃中軒牛右衛門となった滔天。
彼の心に何が起こり、何をしようとしたのか?
宮本研の名作戯曲を日本アカデミー賞脚本賞受賞の劇作家:詩森ろばが「現在の視点」で大胆にアダプテーション。百年前、日本と中国の自由と民権を求める人々の交流を、おんなたちの視点で描いた友情と冒険の物語。
企画
三池炭鉱の町:荒尾から僕は1962年に上京した。中高生時代、僕は「新劇少年」だった。3歳年上の兄の影響で数多くの新劇作品を観た。そこで宮本研作品と出会った。研さんが熊本出身の劇作家というのも影響していたのかもしれない。兄が出演した『メカニズム作戦』は、衝撃的であった。
『メカニズム作戦』は、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』に想を得た組合運動の再生(世界情報革命を夢見る)を試みるファンキーなストライキを描く青春群像劇である。ジャズ、ロック、ビートルズ世代の僕は、この斬新な音楽劇にハマった。
『木口小平氏は犬死』、『ザ・パイロット』、『明治の柩』、大牟田市での研さんの敗戦時の体験を描いた『反応工程』と立て続けに観たり読んだりした。だが、所謂、新劇風演出・演技の「嘘くささ」が鼻につきオサラバした。
そして、19歳の夏、唐十郎の状況劇場紅テントと出会った僕のアングラ演劇彷徨は現在まで続くことになる。
そんな、僕は半世紀を経て、研さんに《出会い》直した。2017年『メカニズム作戦』上演。この1962年(状況劇場結成)、若者たちの70年安保闘争に向けた社会変革のステップボード的作品を朝比奈尚行:音楽で上演。運動不在の2017年、若者たちの「渾沌とした自由への渇望」は伝わり大ヒット。研さん戯曲の「勁さ」を実感した。
辛亥革命110年、宮崎滔天没後100年、大逆事件死刑執行111年、関東大震災99年の2022年、研さんの「百年前のアナーキーな若者たちの冒険劇」を連続上演する。故郷の革命家:宮崎滔天と中国の革命家の交流を描く『夢・桃中軒牛右衛門の』、大正の社会運動家と演劇人との熱い交流を描く『美しきものの伝説』である。
『夢・桃中軒牛右衛門の』は、宮本研リスペクトに裏打ちされた大胆不敵な詩森ろば:脚色の問題作。『美しきものの伝説』は、イマ、注目の西沢栄治の演出。
《命、革める》若者たちの「自由と友情」の歴史劇★連続上演です。
「戦争の時代」にあらためて、「自由と民権」を真っ向からボクタチは演劇の力を信じて問いたいと想っています。
ふらりと、下北沢までおいで下さい!
芸術監督:流山児祥
宮本研
1926-1988 熊本県生まれ。
十代の七年間を父親の勤務地北京で過ごし、1944年に帰国。
九州大学経済学部卒業後、大分県立第二高校(現・大分商業高校)で一年間教鞭をとった後、1952年より法務省に勤務。
1955年法務省在職中に「麦の会」を結成し、『僕らが歌をうたう時』を執筆。労働者自身による自立劇団再建の担い手となる。1962年、法務省退職、職業劇作家となる。舞台だけでなく、ドラマや映画の脚本も手掛ける。
『日本人民共和国』、『メカニズム作戦』で岸田戯曲賞、『明治の柩』で芸術祭奨励賞脚本賞。『反応工程』、『日本人民共和国』、『メカニズム作戦』、『ザ・パイロット』は《戦後史四部作》と呼ばれ、『明治の柩』、『美しきものの伝説』、『阿Q外伝』、『聖グレゴリーの殉教』は《革命伝説四部作》と呼ばれている。
原作-あとがき
(一部抜粋)
―――「革命伝説四部作」の場合は、歴史というものが人々にどうかかわり、逆にまた、人々は歴史にどうかかわり返せるのだろうという素朴な、そしてとりとめもない疑念へのこだわりであったように思う。
歴史というものがもし、人々にむかってある種の暴力としてしか存在しえないものだとするなら、人々がとりうる立場はそれが敢えてであれ、余儀なくであれ、反歴史ということでしかなく、そしてもしそんな世界がどこかにあるなら、そこはまぎれもなく人々の情念や夢の棲む場所であり、人々はそこでみずからの夢や情念や想像力をはぐくみつつ、たとえば歴史ではなく伝説という形で歴史を誤解し、曲解し、そうすることで歴史の暴力から身を守り、生きつづけようとしているのではないかというのが、わたしなりのこだわりようではなかったか―――
そしてそれらの作業を、まことにおこがましくも、敢えて民衆という言葉をつかいながらわたしはやろうとしたのだったが、むろんいうまでもなく民衆という言葉は歴史の側の言葉であり、人々の側のそれではない。三人称の世界ではなく、一人称の世界であり、なければならないはずのものである。
歴史というものを解きほぐしたいなら民衆という言葉からして解きほぐしてかからなければならない仕事であることは初めから明白なのである。
どうしたらいいのか?
女を書かなければならない―――――
(1978年9月 宮本研)
脚色=詩森ろば
(メッセージ)
尊敬する宮本研さんの脚色をいきなり頼まれました。
今よりずっと世界の民主化運動や革命、そして戦争などが近い時代の作品で、その知識と理解するためのインテリジェンスがあること前提の、比喩や暗喩に満ちた作品たちの上演は、なかなか難しいと前々から思っていました。
とは言え、わたしのような三流劇作家に筆を入れろなどといくらなんでも大胆すぎるというものです。さすが流山児祥。
でもおこがましさに耐えて引き受けたのは、そんな理由で理解されないのは悔しすぎる。今、ほんとうに上演すべき作品だと思ったからです。
そして自分は、宮本研さんが生涯かけて言わんとしたことがわかる女だという少々のウヌボレがあったからです。左翼的思想は持ちつつも、そのロマンチシズムに屈しなかった稀代の劇作家宮本研さんの真骨頂を、現代の物語として再生したいと臨みました。
どうぞ劇場で、批判精神を山ほど持ってご覧ください。
すべて受けて立ちます。