東京ドームシティお化け屋敷「顔剥がしの仮面」の仕掛けなど担当させて頂きました。
東京ドームシティのお化け屋敷、夏の特別演出が2年ぶりに復活!
コロナ禍でエンターテイメント業界も多大な影響を受けておりましたが、ついにお化け屋敷の夏の特別演出が復活しました。
今回は、「這いずる人形」「振り向きながら向かってくる人形」「縦横無尽に動く仮面」などなど、中々意欲的な仕掛けが設置できたと思います。
以下、株式会社オフィスバーン様からの引用です。
仮面を剥がして納めてくる
この夜雨子の家に、今度は絵美と圭一という若い夫婦が引っ越してきました。「絵美」は夜雨子に纏わる呪いの仮 面に取り憑かれてしまい、夫を殺し、自らの命を絶ちました。絵美の霊はまだ成仏できず、この家の中を彷徨っています。お客様は、“ 絵美の仮面を外して納め”てこなくてはなりません。
詳しくは「怨霊座敷」公式ページをご確認ください
概要
タイトル | お化け屋敷「怨霊座敷」夏の特別演出 『顔剥がしの仮面』 |
URL | 「怨霊座敷」公式HP |
場所 | 東京ドームシティ アトラクションズ お化け屋敷 『怨霊座敷』 |
期間 | 2021年7月17日(土)~9月26日(日) |
時間 | 10:00~16:00 【超・絶叫編】17:00~21:00 |
料金 | 利用料金:1,050円/【超・絶叫編】1,200円 |
お問合せ | 東京ドームシティ アトラクションズ TEL.03-3817-6001 |
ストーリー
その家に、絵美と圭一という若い夫婦が引っ越してきました。
長年住む者のいなかった木造家屋は、床下から生えたツタが覆っていました。二人の暮らしは、そのツタを取り除くことから始まりました。
一年が経った頃、二人の間に子供が生まれました。
その子はとても夜泣きの激しく、絵美は睡眠不足のために、次第に疲れが溜まっていきました。圭一が、あまり育児を手伝ってくれないことも、彼女の不満の種でした。
そんな彼女の気持ちを察するのか、赤ん坊は昼も夜も泣き続けるようになりました。
彼女は、次第に家事も滞るようになり、床下から再びツタが伸び始めました。
ある日、いつものように泣き止まない子供をあやしている最中のこと、不意に泣き声が止みました。不思議に思って赤ん坊の顔を見ると、じっと一点を見つめています。絵美がその視線を辿ると、いつのまにか室内にツタが枝を伸ばしてきています。そして、その先に美しい女のお面が掛かっています。まるで、ツタがそのお面を差し出してきているようです。
近づいてよく見ると、それはひび一つなく、大した汚れもありません。赤ん坊が必死に手を伸ばすので、絡んだツタから外して手渡すと、今度は絵美の方にお面を差し出します。
どうやら、つけてみろと言っているようです。
絵美は仕方なく受け取ると、お面の裏を見てみました。左目のあたりに何かがついていますが、それ以外に汚れもありません。ちょっと顔に当ててみるくらいなら大丈夫だろうと思って近づけると、ふっと甘い白粉の匂いがしました。
けれど、驚いたのは次の瞬間でした。
赤ん坊が笑ったのです。
今まで泣くばかりで笑うことのなかった赤ん坊が、その時初めて笑ったのです。
それ以来、絵美は子供が泣くときに、そのお面を付けるようになりました。お面を付けると、赤ん坊は必ず泣き止み、笑い声をあげます。
もはや、絵美にとって、そのお面は手放すことのできないものになっていました。
しかし、その様子を見ていた圭一は、次第に不安になっていきました。
赤ん坊が、母親ではなく、誰のものかもわからないあのお面の笑顔に愛着を覚えるようになってきている。赤ん坊にとって、自分の母親はあのお面の女だと思っているのではないか。
しかも、その顔は以前よりも笑っているように見えます。逆に、お面を外した絵美の表情は、暗く沈んでいます。まるで、お面が絵美の笑顔を吸い取っているかのようです。
圭一の不安は、日々大きくなっていきました。
実は、そのお面には一つのいわれがありました。
以前、この家には夜雨子という美しい女性が暮らしていました。けれど、あるときからその顔が醜く爛れ始めます。彼女は白粉でそれを隠そうとしますが、むしろそれが皮膚を一層荒らしてしまいます。その爛れのために、彼女はうまく笑うことができなくなり、気持ちも沈み込むようになりました。それに合わせて、夫の態度も冷たくなったように感じられます。
そんなある日、夫が彼女のために一つのお面を用意しました。それは、美しい女性が微笑むお面でした。
「顔のことを気にして気持ちが塞ぐようだったら、このお面を被って明るい気持ちになった方が良い」
夫のその言葉に押されてお面を付けてみると、そのお面の表情のせいでしょうか、気持ちもいくらか晴れるようでした。また、そういう彼女の様子を見て、夫も優しく接してくれるようになりました。夜雨子がお面を被ることで、家の中に漂っていた暗い空気が吹き去っていくようです。
しばらくたったある日、夫が仕事仲間だと行って、一人の女性を連れて家に帰ってきました。その顔を見た夜雨子は思わず声を上げそうになりました。
その女性の顔は、夜雨子の付けているお面そのものでした。
その瞬間、夜雨子は、夫と彼女の関係を直感的に感じ取りました。
その夜、夜雨子はお面を壊してしまおうと試みます。けれど、どうしてもそれができません。
このお面を壊してしまうと、夫がもう二度と優しくしてくれないような気がしたからです。
そんなことがあってからも、夜雨子は夫の前でお面を付け続けました。けれど、彼女の心は二つに切り裂かれていました。自分は一体誰なのか? 夫が優しい眼差しを向けているのは、私なのか、このお面なのか?
次第に彼女は、自分がなくなって、やがて消えてしまうのではないかというような不安を覚えるようになりました。それに合わせるように、お面はますます生気を帯び、その微笑みは笑顔に変わっていくようです。
夜雨子の体の衰弱は激しくなり、ある日とうとう亡くなってしまいます。
二人は、夜雨子の顔からお面を外そうとしますが、なかなか外せません。夜雨子のただれた皮膚がお面にくっついて離れなくなっていたのです。
無理やり外すと、お面の裏側には皮膚の一部が剥がれて残りました。
二人は気味が悪くなり、お面も一緒にして夜雨子の死体を、床下に埋めました。
やがて、その場所からはツタが生え始め、この家を覆うようになったのです。
そんなことも知らずに、圭一の不安は増していきます。
絵美の立ち居振る舞いや声を聞くと、次第に別の女がそこにいるような気持ちになってくるのでした。
そこで、とうとう絵美に告げました。
「そのお面を外して、捨ててしまおう。だんだん、絵美が絵美でなくなっていくような気がするんだ」
すると、絵美は赤ん坊を抱いたまますっと立ち上がって言いました。
「はずしても良いけど、そうしたらこの子はもう、二度と笑わないわ。この子は、この顔が自分の母親だと思っているのよ」
その声は、もう絵美の声ではありませんでした。
恐ろしくなった圭一は、絵美の体の上に覆い被さってお面を剥がそうとします。けれど、お面はなかなか剥がれません。
絵美は、圭一の体の下で、ケラケラと笑い声を上げています。
その様子を見るうちに、圭一の中の恐怖はどんどん大きくなっていきました。恐ろしくなった圭一は、ノミでお面を割ってしまおうと思い、ハンマーを振るいまいした。
お面の一部が割れ、その下から絵美の目が現れました。それは、憎悪に燃えさかり、よく知っている絵美の者とは思えませんでした。
顔の皮の剥がれた絵美は、その恐ろしい姿のまま圭一に手を伸ばすと、その首を絞めてきます。それは、とても女の力ではありません。
意識が薄れていく中で、圭一の目に映ったのは、見たこともない女の顔でした。
数日後、その家では首を絞められた圭一と、自ら命を絶った絵美の死体が見つかりました。
二人の死体の脇では、血塗れのお面の傍で、赤ん坊が笑顔を見せていました。
それ以来、この家には、笑うお面の女の霊が現れると言います。
それは、絵美の霊でしょうか? それとも、夜雨子の霊なのでしょうか?
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絵美は、お面を被ることで、この家で殺された夜雨子という女の霊に取り憑かれていたのです。そのお面は、家族に災いが降りかかるたびに、どんどん笑顔になっていく呪いの面だったのです。
絵美の霊はまだ成仏できず、この家の中を彷徨っています。
どうか、彼女のお面を剥がし、その呪いを解いてあげてください。