groschat produse vol.7
2004年7月1日(木)~4日(日)
阿佐谷/スタジオ・アルスノーヴァ
データ
夜みたいな夜
【作・演出】池谷なぎさ
【出演】V・銀太/喜多敏之/ワタナベ ウシヲ/中島忠昭/野口博正/沖田乱(特別出演)
【日時】2004年7月1日(木)~4日(日)
7/1(木)-19:30
7/2(金)-19:30
7/3(土)-15:00/19:30
7/4(日)-13:00/17:00
※開場は開演30分前。当日券・整理券の発行は開演1時間前より行います。
【会場】阿佐谷/スタジオ・アルスノーヴァ
〒166-0001杉並区阿佐谷南3-37-9
[TEL]03-3391-4228
【チケット】[前売り・予約]2300円[当日]2500円
【前売・予約&問合せ】グローシャgroschat produce
【スタッフ】◎共同演出・美術/V・銀太 ◎照明/大鷲良一◎音響/井出比呂之◎照明協力/ラビオリ土屋◎舞台監督/虹色冒険家(G)◎企画・製作/グローシャ◎協力/河崎耕士/鈴木隆/本間美奈子/伊藤裕作/渡辺江里子/ビスケットボーイズ/劇団大正ロゴ /(有)エンドレスファクトリー/いかわたばこ店
コピー
◎コピー◎
ブレヒト?狂言?西部劇?
いや、これは歴史に描かれなかった男たちが
月の谷で奏でる競争のものがたり
音響も照明も、舞台すらあるのか?
といった逆説からの芝居づくり。
なにもない空間で
役者が芝居と現実の狭間を行き交う、
渾沌の中にいて、何処かへ向かおうとしている…
決して 桃源郷ではないことを知りながらも、
喧嘩しながら、助け合いながら
旅を続けている。
これはそんな芝居だ。
ブレヒト作品の底に流れている硬質な哲学と、
民話の中に見つけられる黒い笑いを融合させて、
神話のおはなしを贋作する試み…。
男ってなんて切ない生き物なんだろう?
女さえいなければ、この人たちはとっても平穏なのに。
そんな皮肉をこめて、愛すべき男たちに贈りたい。
挨拶
◎挨拶◎
走れない自分に気付いた時がありました。
言い訳すれば、重い荷物を持っていたり、貧血だったり、二日酔いだったりするんです。人が速足で歩くよりも遅いスピードで、それでも走り続けた1ヶ月半でした。時に道に迷い。時に道に倒れ。時に喧嘩し。時に慰め合って後退しながらも。希望に胸を震わせ、そして歌い続けました。私たちがオモシロイと感じるもの、それは明確で、具体的で、動的であることでしょう。男ばかりの稽古場は静かでした。寡黙に闘志をみなぎらせた彼らの中で、私は密かな充足感と孤独を感じていました。いつだって男の人は憎らしいほど魅力的なんですから。
この芝居、よくご覧になってください。
どんなに男の人が愛くるしい存在か、それはもう明らかです。
なにが飛び出してくるか、御期待ください。分かりにくいと評判の私の台本を、分かりやすく表現してくれたのは役者のチカラです。彼らは砂漠を歩き続けます。生きるために。目指す場所なんて何処にもないのに。 毎回、多くの人たちに支えられて芝居をつくってきました。
今回は特に音響、照明のお二人の御尽力がなければ、この日は来なかったでしょう。そして、快く煙草を提供してくださったいかわたばこ店の井川氏に感謝いたします。御協力頂いた方々の深い愛情に甘んじることなく、走り続けていきたいと思っています。
本日は御来場、誠にありがとうございます。
1時間30分、たっぷり楽しんで頂けたら幸いです。
池谷なぎさ
物語り
◎物語り◎
二つの隊商が砂漠をゆく。男たちはそれぞれの想いを胸に月の谷をめざしていた。身分の違い、境遇の違い、貧富の差といったお互いの距離に苦しみながらも、彼らはののしり合い、殴りあい、歌い、叫び、泣き、そして笑う。
旅は果てしなくめざす場所はもうどこでもよくなってしまうのだった。男たちにいつも出口はない。そこで笑い続けることしかないのだ。
◎砂漠のページェント◎
ブレヒトの教育劇集に触発され、イタリアの民話のおはなしにヒントを得て、西部劇や狂言の手法を織り交ぜながら池谷が書き下ろした脚本に修正と削除を繰り返し、今では誰もやらないような莫迦げたことすら諦めずに拾い集めて、演劇が諦めかけていたロードムービーというジャンルに挑戦します。この作品が、今後のグローシャの方向性を決める第一作目の実験劇になることでしょう。
そして今回の醍醐味は、ひとくせもふたくせもある役者が揃ったことに尽きます。喜多敏之は自由劇場出身。現在はビスケットボーイズ(音楽と芝居の融合を得意とするユニット)の主演男優でもあり、マシュマロウェーブ等への客演でも注目される技巧派。スマートなボケキャラが絶品です。元蟷螂出身のワタナベ ウシヲは万有引力やMODE等に客演してきたナイーブな肉体派。繊細さと鋭さを合わせ持ったナイスガイです。今回はその演技の幅の広さを存分に発揮してくれています。中島忠昭は若手ではありますが、大正ロゴという劇団を主宰し、作・演出をこなす好漢。今回は力技演技に初挑戦しています。野口博正は前回のグローシャ公演に続いての出演。ニヒルで彫りの深い二枚目は、独自の哲学を探求するさすらい人でもあります。そして今回三度目の出演となる沖田 乱、グローシャを語るにはこの人なくしては在りえません。この人の演技を見ずして、演劇は語れないでしょう。又しても、肉体と精神の限界を体現してくれます。最後にグローシャの頭脳、V・銀太が久々に役者として走り回ります。「アルス・アマトリア」「ドレッサー」と演出が続き、その才能が高く評価されました。今回も勿論、共同演出と美術を担当します。益々円熟味を増した演技にご期待くださいませ。
私たちがこの芝居のために選んだ舞台は、スタジオ・アルスノーヴァです。フラメンコの稽古で踏まれ続けてきた硬く渇いた床は、そのままで砂漠のイメージを彷彿とさせてくれることでしょう。小さな、何もない場所で、役者に何ができるのか? 一体、なにが起こるのか? なにが飛び出すのか?そこに命を賭けてみたいと思っております。狂おしい夜に繰り広げられる砂漠の野外劇(ページェント)は、もうはじまっています。どうぞ、心ゆくまでお笑いになってください。
私たちは歩き続けます。
砂漠の先になにがあるのか確かめるために。
なにもなくても、きっと笑える。そんな日のために。